土地活用コラム

相続登記はお済みですか?

令和6年4月1日から相続登記が義務化されることは、貝沼ニュース123号と127号でもお伝えしたところですが、実際に義務化が開始したこともあり、相続登記に関する相談が増えています。そこで今回はその後の動向も踏まえて、相続登記について再度触れます。

 

 

1.どのように変わったのか?
(1)相続登記は「義務」になり、登記名義人が「その所有権の取得(自分が相続人であること)を知った日(通常は死亡日)」から3年以内に登記申請をするもの都市、怠ると「過料」(刑事罰の「科料」とは異なり、交通反則金と同等なものです)の制裁があります。

①令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も義務化の対象となり、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。

②「知った日」が起算日なので、葬儀や喪中の連絡もなく死亡を知らなかったなど疎遠の親類の相続は、死亡日ではなく、何らかの連絡があって自分が相続人であることを知ってから3年です。このような場合は、まずは「知った日」から3か月以内に、相続放棄の手続きをするかどうか検討した方がよいです。

③「正当な理由」なく相続登記を怠った場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。「正当な理由」とは、相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や相続人の把握に多くの時間を要するケースとされていますが、具体的なことは3年後からの実際の運用次第となります。

(2)ただし、相続人の負担軽減のため、相続人の1人が、法務局に対して、登記名義人が死亡したことと申出人が登記名義人の相続人であることを「申告」登記をすれば、申告登記をした人は過料の制裁は免れます。

もっとも、「申告」をしてしまうと、登記記録に住所と氏名が記載され、相続登記ができなくなったり、今後固定資産税の納付書が延々と送られてくるというリスクがあるので、慎重に判断する必要があります。

(3)相続登記のみならず、所有名義人が住所変更した場合、2年以内に住所変更登記することも義務とし、怠ると同じく「過料」の制裁があります。

(4)一定の要件を満たせば、相続した土地の所有権を国庫に帰属させる制度が設けられました。

しかし、国が引き受けるための要件が厳しく、実効性が乏しいです。

 

2.相続登記が済んでいない原因については、以下のとおりです。

(1)遺産分割協議がまとまらない

(2)まとまらないまま時間が経過して次の相続も発生し、今となっては相続人が多数となってしまっている

(3)不動産の価値が低くてない客もできず、手間暇がかかるだけで相続登記をするメリットが全くない

(4)遺産であることが把握できていなかった(共有物件など固定資産税の課税通知がされていない場合)

(5)疎遠な親族の相続で、自分が相続人であることを知らなかった

 

3.それぞれの対応

(1)自分自身が当該不動産の取得を望む場合

①相続人に対して、遺産分割協議を申し入れることです。相続人がどれだけ多数になっていてもやり遂げる覚悟と代償金を用意する必要があります。具体的には、貝沼ニュース127号を参照していただき、場合によっては弁護士または司法書士にご相談ください。

②なお、令和6年3月31日から、戸籍上は全国の市区町村窓口どこでも発行が可能となりました。必要な戸籍の謄本地が全国各地に分かれている場合や「出生・婚姻から死亡まで」のような場合でも1か所の市町村窓口でまとめて請求できます。もっとも直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)が「窓口」で請求する場合のみ可能で、兄弟姉妹などの他の相続人の戸籍までは、広域交付では発行してもらえません。

(2)自分自身が当該不動産の取得を望まない場合

①他に取得を希望する相続人がいる不動産は、まずは取得を希望する相続人に委ねるのが得策です。

②問題は、誰も取得を望まない「負動産」です。主に原野や山林です。

原野や山林は、国庫に帰属させることはほぼ不可能です。

また原野や山林だけのように一部の遺産だけを相続破棄することもできません。

正直、決め手となる特効薬がありません。

このまま静観し、次の相続開始時に相続放棄をするか、「過料」のリスクをどうしても避けたければ「申告」するかの二択となります。

 

4.今すべきことは?

繰り返しになりますが、

①無くなっている祖父母あるいは両親の代から名義が代わっていない土地(建物は解体してしまえば滅失登記が可能です。)がないか、親類(特におじやおばなど)で「単身者」や「子どもがいないまま亡くなった方」がいないかを確認することです。

②今後の相続に備えて、「所在不明」となっていたり、「海外に居住」している推定相続人がいる場合は、このような推定相続人が相続手続に関与する必要がない遺言書を、可能な限り「公正証書」で作成することです。海外居住者、特に日本に住民票登録をしていない相続人を当事者とする遺産分割協議は煩雑極まりないので、直ちに直筆でも遺言書を作成することをおすすめします。

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