土地活用コラム
【不動産大家の節税対策】
1.不動産賃貸収入の規模を確認してください
不動産所得は規模によって「事業的規模」「事業的規模以外」の2つに区分され、対策が大きく変わってきます。
「事業的規模」とは一般的におおむね5棟10室といわれるもので、独立した家屋であればおおむね5棟以上、アパートなどの貸室であればおおむね10室以上の規模であれば事業としての規模になります。
2.一般的な節税対策
・青色申告にする
「事業的規模」の方は、一定の要件を満たすと65万円、「事業的規模以外」の方は、10万円の青色申告特別控除を受けることができます。また特別控除以外にも特典があります。
・一括償却資産
取得価額が10万円以上20万円未満の場合には、その取得価額の1/3の金額を3年間にわたり必要経費とすることができます。取得価額が10万円以上30万円未満である場合には、その取得価額の全額を取得した年の必要経費とすることができます。(年間上限300万円)
・個人年金用の生命保険に加入する
生命保険料控除は受けられている方は多いですが、個人年金控除を受けている方はかなり少ない印象があります。
・建物等の修理をこまめにする
賃貸物件も古くなると、いろいろな所を修繕する必要が出てきます。
しかし、費用がかかることなどから、ついつい後回しにされるケースをよくみます。まめなメンテナンスが建物等の価値を高めます。
・賃貸不動産を子(孫)へ譲渡・贈与(相続時精算課税制度の利用)する
収益性の高い不動産を子(孫)へ譲渡・贈与をし、その収益をその受贈者(子、孫)の所得とすることで所得の分散を図ります。なお実務において譲渡価額の決定、譲渡所得税・贈与税の検討、諸費用(不動産所得税・登録免許税・登記費用等)の負担等の課題がありますので、しっかりと考えて実行していってください。
親の所有している賃貸建物を子に贈与すれば、家賃収入を子に移転させることができ、所得税や相続税を大きく節税できる場合があります。賃貸建物の贈与に適しているものとして、例えば築古アパート、事業系の貸倉庫、工場の建物が挙げられます。
高収益の賃貸不動産の賃料収入がある場合、生前贈与をしないと、その収入がご自身の財産として蓄積されていき、相続時に、その資産に相続税が課されることになります。
しかし、その不動産を、お子さんなどの推定相続人に対して生前贈与していけば、その後は、推定相続人が賃料収入を得ることになります。
・ふるさと納税をする
ふるさと納税は好きな自治体に寄付をするとお礼の品を受け取ることができ、寄付したお金は本来支払う税金から控除されるため自己負担額は実質2,000円で済むお得な仕組みです。
・借入金のある人は銀行と金利の交渉をする
3.「事業的規模」の方の節税対策
・青色申告特別控除の65万円をうける
一定の帳簿をつけ、一定の書類を提出することによってうけることができます。かなり難しい感じがしますが、今は、会計ソフトの導入により作成しやすくはなっています。
・配偶者を青色事業専従者にする
青色申告者について、配偶者当の家族に、賃貸物件に管理や記帳を任せているような場合には、届出を出すことにより、その労働に対する報酬として給料を支払い、これを必要経費に算入することができます。
ただし、この場合に給料をもらった人について給与課税はされます。
・小規模企業共済に加入する
掛金(月額最高7万円)の全額が、所得控除の対象になります。支払った年も節税効果が高いのですが、一定の年齢による解除時に退職控除になったり、亡くなるまで支払いを続けて相続人が受取る死亡退職金には相続税の非課税枠があるため、税金上かなり優遇されています。事業的規模でなかったり、サラリーマン大家さんは加入できません。
4.そのほか
会社に勤めながら副業でアパート経営をしている大家さんは、本業と副業の両立ができているかという問題があります。アパートの管理業務のボリュームがどの程度あるのか不透明な上、管理方法やアパート経営ノウハウがない人もいます。
したがって、手間がかかりやすい管理業務は管理会社に委託することで負担を大幅に軽減することができます。
知識が豊富な管理会社に管理を委託すれば、アパートの管理に手を煩わせず、本業に集中しながらアパート経営が可能になります。また、管理料は所得税の必要経費になりますので、自己管理がある場合は、一度、管理をしてもらうかどうかご検討ください。
賃貸経営には苦しい時期があります。それが「デッドクロス」です。
不動産におけるデッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態を指します。
ローン返済額は返していくうちに利息部分が減っていきます。利息分は経費に計上できますが、元金部分は計上できません。
その結果、所得税の計算上は黒字でも、現実のキャッシュフローとしては赤字という状態になります。それが「デッドクロス」です。
減価償却費を計上できる年数は決まっているため、賃貸経営を続けていれば、必ずデッドクロスは訪れます。
対応策としては、不動産を売却して資産の組み換えをする。金利の安い銀行の借り換えをして返済額を下げるなどがあります。
すでに金利が低い場合は、他の稼いでいる賃貸物件による蓄積で完済するまで耐えるしかない場合もあります。
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