土地活用コラム

契約締結時における自主管理の落とし穴

管理会社に委託せず、オーナー自身が管理して不動産賃貸をされている場合もあります。
しかし、ひとたび入居者とトラブルになると、自主管理物件の案件ほど証拠不足などの問題が多く、裁判案件でもすんなりと進まないのが通常です。
そこで、今回は契約締結時における自主管理の落とし穴について紹介します。

 

 

契約締結段階における自主管理物件の問題点としては、

1.契約書がない

数十年も前から居住している場合、契約書そのものがないというケースが多いです。
契約書がないことだけで、賃貸借契約が存在しないというわけではありません。しかし、契約内容(特に借主が誰なのか、賃料はいくらなのかなど)について争いがあると、解決まで長期化します。
また、契約書がないということは、後に述べる2のような問題も当然に出てきます。

 

 

2.契約書が現状にそぐわない
① 無催告解除になっていない

自主管理の場合、文具屋や書店で販売しているような定型の契約書を利用している場合が多いです。
古い書式の場合、賃貸借契約を解除するために、催告(催促)が必要となっている場合が多いです。
この条項になっていると致命的になるケースがあります。

例えば、

■滞納の常習者で退去してもらいたいと思っていても、催促したら支払ってくるような場合です。基本的に滞納の都度に催告(催促)が必要になるので、かなり煩わしくなります。

■賃借人が行方不明になった場合です。
そもそも催告(催促)しなければ、解除することができません。しかし、この催促は、相手に届かなければ法律的な効果が発生しません。
ところが、賃借人が行方不明になると、催促そのものができないのです。そのために、公示送達という手続を採らなければならなくなりますが、これが時間と手間がかかるものなのです。
こうならないためにも「賃料等の支払を1回でも怠ったときは、賃貸人は何ら通知・催告を要せずに直ちにこの契約を解除することができる」となっているのが最善です。

 

② 契約書上の賃借人が居住していない

■死亡して相続人がそのまま使用している場合
例えば、夫が亡くなって妻が引き続き居住する場合です。この場合、実際に使用する相続人との間で新たに賃貸借契約書を交わさないと、賃借人が誰なのかという問題が発生し、最悪相続人全員を相手にしなければならないという事態になります。

■いつの間にか第三者が使用している場合よくあるのが、滞納しているので現地を確認したら、第三者が居住していたという場合です。この場合、不法占拠だからすぐに追い出せるのではないかと思われるかもしれません。しかし、裁判となると、相手を特定する必要があり、使用者不詳のまま提訴することはできません。
そうすると、提訴する前に相手方を特定するための仮処分という手続をとる必要があります。これも時間と手間がかかる上に、裁判所に保証金を納める必要もあります。

3.本人確認書類がない

自主管理物件ですと、本人確認書類を提出してもらっていないケースが大半です。
免許証や保険証、住民票の写しや印鑑登録証明書など、諸々の公的機関が発行している本人確認書類を、どこかのタイミングで提出してもらうなり、少なくとも家主が確認するようにしてください。
せっかく明渡しを命じる判決をとったとしても、使用している人が異なっていると強制執行が不能となってしまいます。

 

 

4.契約書の有無を確認

自主管理物件をお持ちの方は、まずは契約書があるのか、契約書がある場合はその
内容について、確認することをオススメします。
次回は、実際に不動産賃貸をした場合の賃料管理の場合の落とし穴をご紹介します。

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